こんにちは、出張トリミングRinの瀬奈です。
「動物薬理学の基礎」について学んだ内容を、今日は皆さんにもわかりやすくお伝えしたいと思います。
動物に薬を使うことは獣医療に欠かせない大切な治療法の一つです。今回は、薬の役割、体の中での働き方、副作用やアレルギーなど、知っておきたい基礎知識をまとめました。
■ 薬での治療は「原因療法」と「対症療法」の2種類
薬を使った治療には、以下の2つの目的があります。
◎ 原因療法
病気の原因を取り除くための治療です。
例:抗生物質(細菌を退治)、駆虫薬(寄生虫を駆除)
◎ 対症療法
症状を和らげるための治療です。
例:鎮痛剤、制吐剤、整腸剤、ホルモン剤など
特に対症療法は、動物が本来持っている「治ろうとする力」をサポートするイメージです。
■ 投与方法によって効き方が違う
薬はどのように体に入れるかで、効果の出方や副作用の出やすさが変わります。
投与方法 | 特徴 |
---|---|
経口投与(p.o.) | 食事と一緒に与えられる。効き目はゆっくり。 |
静脈内投与(i.v.) | すぐに効くが、器具や技術が必要。経過観察も大切。 |
■ 薬はどうやって体の中を移動するの?
薬は次のようなステップを経て効果を発揮します。
- 吸収(口や注射から体に入る)
- 分布(血液に乗って体内に広がる)
- 代謝(主に肝臓で分解・無毒化)
- 排泄(主に腎臓から尿として出る)
※ 経口投与は代謝が遅く、静脈注射は早く効果が出るけど代謝も早いです。
■ 薬の「効き目の時間」=半減期とは?
薬を与えてから血中濃度が半分になるまでの時間を**「半減期」**といいます。
この時間によって「どのくらいの間隔で薬をあげればよいか」が決まってきます。
■ 種類によって代謝の仕方が違う!
肝臓では以下の2段階で薬を処理します。
第一相反応
酸化・還元・加水分解などで薬の力を弱める
(※チトクロムP450という酵素が活躍)
第二相反応
グルクロン酸や硫酸と結びつけて水に溶けやすくし、体の外に出す準備をする
ここで大切なポイント!
ネコちゃんは「グルクロン酸抱合」が苦手なので、薬によっては中毒を起こすこともあります。要注意です!
■ 繰り返し使うと「効かなくなる」ことも…
薬を長期間使っていると、体が薬に慣れてしまい、効きにくくなることがあります。これを**「薬物耐性」**といいます。
急に効かなくなる現象は**「タキフィラキシー」**と呼ばれ、特に注意が必要です。
■ 副作用と有害作用の違い
薬の効果以外に出る作用を副作用と呼びます。
その中でも動物にとって明らかに悪い影響を与えるものを有害作用と言います。
例)ピモベンダン(強心薬)
・薬効:心臓の働きを強める
・副作用:まれに頻脈や嘔吐(これが有害作用になることも)
■ その他、気をつけたい薬のリスク
- 薬物アレルギー:抗生物質やワクチンなどで起こることがあり、重篤なアナフィラキシーになることも。
- 催奇形性:妊娠中に使うと胎児に奇形が出るリスクがある。
- 胎子毒性:母体には影響がなくても、胎児にだけ悪影響が出る場合もある。
■ まとめ
最後に、今回のポイントを簡単に振り返ります!
- 薬には「原因療法」と「対症療法」がある
- 投与方法や体内での代謝の仕組みを知っておくことが大切
- 副作用や薬物アレルギーには十分な注意が必要
- 動物の種類・年齢・個体によって薬の効き方は違う
- トリマーとしても、動物の体調変化や薬への反応に敏感になることが大事!
最後までお読みいただきありがとうございました!
この内容が少しでも飼い主さんや、動物医療に関わる方の参考になれば嬉しいです。
他にも学んだことを、今後もブログで発信していきます♪
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